なぜ,動物園のゾウたちを,気分転換させる必要があるか? 野生の世界では,ゾウたちは,昼夜の別なく,エサや水を探し,敵を避けようとし,テ リトリーを守り,配偶者を捜し,子ゾウを育てることで活気に満ちあふれている. 動物園では,これらの活動(行動)の多くは, 飼育係が世話をする.ゾウの飼育係は,毎日,時 間通りに給餌して,新鮮な水を与える.放飼場の .中にプレデター 捕食者 が迷い込むことはない そして,ほとんどの場合,管理者とゾウの飼育係 は,ゾウの適切な配偶者(結婚相手)を選びさえ もする. どのようにして,ゾウたちは自分たちで気分転換しているか? オスゾウとの交流のみならず,出産し,子ゾウを育てることは,時間の一部を費やすこ とと,種としての適切なマナーによって,ゾウの群れを忙しくさせるだろう(それらの出 来事は,気分転換になるだろう) . 一方では,野生界のゾウが,時間をかけてすること(前に述べたエサを探したりする種々の労働 は 飼育下のゾウでは必要ない. 動物園やサーカスで暮らすゾウたちにとって, この安楽さは,しばらくして,かなりの退屈さを引き起こすだろう. どうして,行動エンリッチメントは重要か? ゾウの場合 退屈 倦怠 は 近いうちに 社会的な緊張 攻撃と異常行動につながる. もし,ゾウが退屈して,することが何もなかった場合,動物園の観客は,簡単にそれが解る.そういうゾウは,ある一カ所にじっとして, 頭をゆっくりと左右に動かす「はたを織 るゾウ=weaving elephant」として目撃される残念なことに,ゾウの群れを気分転換させるために,非常に献身的で, 創意に富んだ飼育係ですらも,このような常 同行動 (Stereotypic behaviour の章を参照) を完全に防止 (予防) できないかもしれない. ...