ゾウを鎖で繋ぐこと(以下,繋留と略す)は問題か? ゾウたちが,ロープやチェーンに繋がれて,動きを 抑制 (制御) されているという事実は,ゾウの飼育係 たちと動物園やサーカスの観客の間で,今まで,たく さんの議論がされてきたトピック(話題)である. 多くの動物園の観客たちは 「なぜ,ゾウが繋留によって制御されなければならないか?」について全く理解できない.そして,ゾウ舎の寝室の中でチェーン繋 .留されているゾウの光景は, 観客たちを不安にさせる. ゾウたちが繋留されているという論争 (問題) は,異なる動物園とサーカスで飼育されているゾウたちが, 全て同じ方法で繋留されていることと密接に結びついている. 「ゾウたちを繋留すべきではない」という理由は,非常に多い.けれども,また,繋留を支持する正当な (素晴らしい) 理由がいくつかある. どうして,繋留に,チェーンが伝統的に使われているか? 動物園とサーカスのゾウたちのチェーンによる繋留は 長い歴史がある. ごく最近まで, ゾウたちを繋留しないままで飼育することは, 想像で きないことだった (とんでもないことだった). 多くのゾウ専門家たちは,ゾウ舎の寝室内でゾウを繋留しない場合には,ゾウが野生化するかもしれず,そして,人間とゾウの両方に危険であろうと考えていた.ほとんどの動物園では,天候次第で,放飼場と寝室 のいずれにおいても,ゾウを繋留することが慣例であ った. また,より進歩的な気持ち(態度)を持つ人々はいるか? 現在では,ゾウの多くの飼育係は,ゾウの取り扱いについて,より進歩的な道 (アプロ ーチ) を好んで (選んで) いるので,短時間だけゾウを繋留している. 一方では,依然として, 多くの動物園やサーカスのゾウの飼育係たちは,何時間もゾウ を繋留したままにしておくことを何とも思っていない (一部のケースでは,何日も続けて). 多くのゾウ舎では,どうして,チェーンが必要か? 多くの場合,ゾウ舎の構造的な問題によって,ゾウの飼育係はゾウを繋留せざるをえな い. 場所 (空間あるいは面積) の不足,寝室や放飼場を分離するモート (堀) の不足は,飼育係に他のいかなる選択の余地を残さない ...